テニスのトッププロ達の試合は、いつ観ても圧巻の一言に尽きるものです。
・フェデラーの華麗なフォーム
・ナダルの繰り出す強烈なトップスピン
・ジョコビッチの鉄人ディフェンス
・デルポトロの放つミサイルのようなフォアハンド
・錦織圭の刺さるようなバックハンドのダウンザライン
それぞれの選手がそれぞれの武器を有しておりますが、いずれの選手もベースのショットは凄まじく速く、重いです。
一般プレーヤーでは間違いなくラリー相手にすらならないでしょう。
そんな彼らのプレーは観ていて真似しようとしたり、何か自分のテニスに取り入れることのできる要素はないかと、試合や動画を観ることがあるかと思います。
プロの試合を観ることで、自分の中でのテニスのイメージが高まるのもよくある話です。
ところが実際に自分でボールを打ってみると、当然本人達と同じような打球は打つことができません。
それどころかかえって調子が落ちてしまったり、自分のテニスを見失い、迷走してしまうきっかけにもなる場合があります。
トッププロや上手い選手のフォームを真似しようとしても、テニスは思うように上達しないものです。
しかし、
プロの試合や練習動画等も、視点や考え方を変えることによって自分のテニスに活かすことも可能だと考えます。
そこで今回は、プロが何故あのような凄まじいショットを打てているのか?ということについて考えてみましょう。
一言で「才能」と片付けてしまうのは簡単です。ですが、それでは何の面白みもありません。
テニスが上手くなりたくて、もっと試合で勝ちたいと思っているならば、少しでもそこに近づきたい、できることをしたいはずです。
何故あのようなショットを打てているのかを考え、その理由を深堀することによって、自分自身もテニスへの理解を深めることができると同時に、その分だけ今よりもレベルアップできると言えるでしょう。
管理人もまだまだ修行中の身です。自分より上手い選手は星の数ほどいらっしゃいます。今回お伝えすることが少しでもあなたのテニスの役に立つと嬉しいです。
トッププロが打つ質の高いショットは、”力”でなく”身体の使い方”が生み出している
一流の選手が打つショットはとにかく重く、鋭いです。
それを生み出しているスイングというも、綺麗且つ鋭いスイングになっています。
「本当に同じテニスラケットを使っているのか?」
「本当に同じテニスボールを打っているのか?」
疑いたくなります。
ただ、彼らのショットを生み出しているのは「腕・手首の力が優れている」、「体幹を恐ろしく鍛えている」ということではありません。
もちろんそれらも理由の1つではあるのですが、もっと根本的な要素として、「身体全体のキレが良く、それらを効率的に使っている」からだと考えます。
ダンスが上手い人をよく「動きにキレがある」と言うと思います。
プロは全体的な動きにキレがあるからこそ、一見なめらかでゆったり打っているように見えても、正確且つ強力なショットが打てていると言えるでしょう。
多くの人は試合や動画を観ると、
・放たれるボール
・ラケットワークやフィニッシュの形
・テイクバック
などなど、表面的な部分を観て、真似しようとしてしまいがちです。それでは上手くいきません。
むしろ、手打ちになってしまう可能性が高いです。
あのスイングを再現しようとすると、どうしても速くラケットを振ろうと「腕の力」を意識してしまうのです。
腕に力が入ってしまうと、運動連鎖や遠心力といった本来ボールに伝えるべき”力”が損なわれてしまいます。
場合によっては、「身体を鍛えれば鍛えるほど、ボールが飛ばなくなる」という大変残念なサイクルに陥ってしまいます。
(特にフォアハンドの握りが極端に厚い選手は要注意です)
プロのキレッキレな身体の動きを再現する為に必要な要素は主に
・各筋肉の瞬発力
・柔軟性
この2つです。そして腕の力も上手く抜いて、ラケットの遠心力を加算することによって速く、鋭く、重いショットを再現することができるでしょう。
表面的なフォームだけを真似しようとすると、「ラケットや腕がどのような動きをしてパワーを生み出しているのか?」という点にだけ目がいきがちです。
そうではなく、「どのような理由・要因でパワーが生み出されているのか?」という部分について考えてみましょう。
この理解度を深めることによって、トレーニングの成果を自分のテニスにきちんと反映させることができるようになります。
ネットのどれぐらいの高さを通っているか?プロが打つショットの軌道を観察する
ショットの軌道のイメージはとても大切です。
自分のショットはネットよりどれぐらいの高さを通過しているか?
どれぐらいのタイミングで相手コートに着弾しているのか?
などなど、自分のショットの情報を正確に把握したうえで、頭の中でイメージするショットの軌道に合わせていくことができればプレーの質はグッと向上します。
テレビで放送される試合のコートビジョンは基本的に上からの映像です。
これでは、どこに着弾するかは見えても、ショットがどれぐらいの高さの軌道なのかを把握することは難しいです。
ですので、テニスの試合観戦でイメージトレーニングを試みるのであれば、なるべく選手の真後ろからのコードビジョンで観察するのが有効です。
真後ろからのビジョンであれば、ショットの軌道だけでなく、選手の身体の動きなどもよりクリアに捉えることができる為です。
まとめ
・プロがなぜ鋭く重いショットを打てているのかの”本質”を理解する
・プロが打っているショットの軌道を観察する
プロはただ筋肉が素晴らしいのでなく、それ以上に「動きのキレ」がいいからこそ、必要最低限の力で凄まじいショットを打つことができるのです。
それを理解したうえで、一流選手が放つショットの軌道をよく観察してみましょう。
ボールにパワーが伝わる仕組みを理解したうえでセルフイメージを高めることで、よりイメージに近いショットを再現することが可能となります。