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【自分のテニスの幅を3倍に】バックハンドのコツ(片手打ち編)

バックハンドのコツ""
「バックハンドが苦手」。そういったテニスプレーヤーは技術レベルに関係なく多いものです。テニススクールの上級者クラスでも、ポイント形式の練習や試合などでバックハンドを狙われ、格下にストレート負けを喫してしまう、なんと事例は多いです。

このことから、「テニスの試合では相手のバックハンドを狙う」という戦略が比較的シンプルかつオーソドックスな例と言えるでしょう。ただ、実際の試合ではバックハンドを集中的に狙う選手は上級レベルを除けば少ないです。

何故ならば、中級レベルだとボールを打つのに精いっぱいで戦略に頭を使う余裕が少ない場合が多いからです。私自身も、試合前日に戦術などをシミュレーションしても意味がなく、当日はボールを打つのに精一杯で頭を使う余裕がなかったことが多かったのです。

ただこれは、技術レベル云々ではなく、試合においてどこに意識を、エネルギーを使うかの問題です。

上級者やプロでは、自分のバックサイドよりに球が飛んできても回り込みフォアで対処する選手が多いです。ですが、バックハンドが強ければゲームメイクの幅が広がり、試合の楽しさも倍増します。

強烈なフォアハンドが持ち味でも、バックハンドはスライスに徹底する…、というプレーヤーは多いです。もう引退しましたが、フェルナンド・ゴンザレス選手(チリ)もバックハンドにおいてはスライスを多用する選手でした。

彼のフォアハンドは破壊力抜群でしたが、バックハンドのスライスを使ってフォアハンドで打ち込むチャンスを作っていたのだと思います。

ですが、片手バックハンドはしっかり打てるようになればフォアハンドをも凌ぐ強力な武器になります。そこで今回は、片手打ちバックハンドの打ち方、上達法をご紹介しようと思います。日本では片手バックは少数派ですが、だからこそ片手打ちは武器になりやすいのです。

プレイスタイルでいうと、シングルスにおいてサーブ&ボレーヤーは少数派な分、初対戦だと最後まで上手く対応できずに負けてしまう選手は意外に多いです。例えば現在のATPで期待の若手のアレクサンダー・ズベレフ選手(ドイツ)の兄であるミーシャ・ズベレフも、サーブ&ボレーを駆使して王者アンディ・マレー(イギリス)を封印していました。

平たく言うと、”初見キラー”のような効果を持っています。片手バックハンドも同様で、試合では対戦相手にショットを読まれにくいというメリットがあるのです。

「現在バックハンドは片手打ちだけど、いまいち安定しない…」
「片手バックでオフェンスできるようになりたい…」
「フェデラーやガスケのように、片手バックでダウンザラインを打ち抜きたい」
「片手バックハンドを打てるようになりたい!」

そんなあなたは、今回お話することを参考にして頂ければ幸いです。

片手打ちバックハンドは、”左手”でテイクバックする

片手バックハンドの構え

まずはテイクバックからです。片手打ちバックハンドでのテイクバックは、右利きの場合左手をラケットのエッジ付近に添えてラケットを引いています。実はこのテイクバックにもコツがあり、「左手でラケットを引くイメージ」が重要です。

テイクバックもスイングも何かの動作を起こすには少なからず”力”が生じるものです。ただ、極力無駄な力を抜いてボールを打つためにも、余計な動作をカットする必要があります。そこで片手打ちバックハンドにおいて、右(腕)でラケットを引くことが”余計な動作”に該当し、上手く打つことができません。

右利きの場合は左腕でテイクバックしなければ結果的に力みやすく、振り遅れやすくなってしまうのです。逆に、左腕でテイクバックを完了させておけば、右腕がリラックスした状態でスイングを始めることができるのです。

テニスの上達はリラックスせずして叶うことはありません。テニスに限らず全ての運動において”力み”は何のメリットも生まないからです。

片手バックハンドでダウンザラインを狙った時に、振り遅れでサイドアウトしてしまう光景をよく目にします。そこでしっかり左腕でテイクバックを完了させることで、振り遅れず狙った方向へ飛んでいくようになるのです。

片手バックハンドはテイクバック完了時にグリップエンドを相手に向ける

片手バックハンドは手首の動き、リストワークが大切になります。より返しやすく、ボールにしっかり回転をかけるためにはスムーズに手首を返しきる必要があるのです。

そのためには、バックハンドでテイクバックをするときに、グリップエンドが前を向くように構えましょう。イメージとしては、グリップエンドを自分の打ちたい方向に向ける感覚です。

片手打ちの名手であるフェデラーやガスケ、かつてアメリカのスター選手だったジェームズ・ブレーク選手も、全員グリップエンドはラケットヘッドよりも前に出ています。個人的にガスケの片手バックハンドが好きで、彼のベースラインから1撃でオープンコートを打ち抜くバックハンドは見事なので、是非動画などで見てみてください。

片手バックハンドを安定させるには、両肩の位置を安定させるのがキモ

片手バックハンドのスイング

「右肩と左肩のバランスがとれていない」。これは片手打ちバックハンドが安定しない方で特に多い症状です。つまり、片手バックハンドを打つ際に、右肩と左肩の位置が地面と平行にならず、どちらかに傾いてしまっているのです。

これでは身体の軸を安定させるのが難しく、ボールの軌道も不安定でミスが早くなってしまいます。テイクバックからインパクト、フィニッシュまで極力両肩の位置を一定に保って打つように意識してみましょう。

そうすることで軸も安定してボールに力も伝わりやすくなります。低い球を処理する場合は特に肩の位置が偏りやすいので、腕や手先に頼らずなるべく重心を下げて打つようにするのがポイントです。

高い打点は打点を一定に落として打つか、無理をせずスライスで逃げるのも正攻法

片手打ちにとっても非常にやっかいなのが深く、高く跳ねるボール。片手打ちバックハンド最大の弱点と言っても過言ではありません。これは上級者どころか、プロのレベルでも非常に高度な技術が必要となります。

破壊的な攻撃力を持つ片手バックハンドの使い手であるスタン・ワウリンカ(スイス)も、2017年全仏オープン決勝では、ナダルの高く跳ねるスピンボールをバックサイドに集められて、持ち前の攻撃力を封印されていた感が否めません。

しかも残念なことに、日本人は世界のプロと比較しても身長が低く、余計高いボールへ対応が難しいのです。もしかしたら、これが日本国内で片手打ちバックハンドが少ない原因の1つかもしれません。

高いボールの打ち方としては、無理をせず打点を打ちやすい位置まで落として打つのが大切です。無理して打ち込みにいこうとすれば、前述のように状態が安定せず暴発してしまう可能性が高いです。高く跳ねる球をダウンザラインで狙おうとすれば、お門違いな方向へ飛んでいってしまうかもしれません。

片手バックならば、自分のバックサイドへ高く跳ねるボールが来たら我慢してディフェンスするべきです。もしくは、回り込める余裕があるならフォアに回り込んで打った方がまだ主導権を握られにくくすることができます。

スライスで処理するのも一つの手ですが、スライスの打ち方は別の機会にお話します。背伸びをせず、自分の能力範囲内でボールを打つのがテニスの上達スピードを加速させます。

まとめ

転がるテニスボール

今回は片手バックハンドを上達させるコツをご紹介致しました。

・テイクバックは左手手動(右利きの場合)
・テイクバック完了時にグリップエンドを打ちたい方向に向ける
・テイクバックからフィニッシュまで両肩の位置を地面と平行にキープ
・高く跳ねるボールは無理して打たない(回り込む、スライスなどを使う)

この他にもシンプルかつ効果的なコツがあれば随時更新させていただきます。