「テニスはメンタルスポーツである」と言われているように、テニスにおいてメンタルは非常に重要なファクターです。当然それはテニスの上達にも深く結びついています。試合で接戦をものにするのはもちろん、あなたのテニスの上達スピードはメンタルを変えるだけで劇的に変化することがあります。
メンタルがパフォーマンスに及ぼす影響は非常に大きいもので、心構え1つで人は驚くほど変わります。「何故、テニスが上達しないんだろう…」、「こんなに練習してるのにどうして…」。学生時代の私は当時こんなことばかり考えていました。
練習しているにもテニスの実力はイマイチで、むしろ自分より練習していない、サボりがちな人との差も全然埋まらず、よく悩んでいました。よく、「メンタル=自信」だと考えている方がいます。これは間違いではありませんが、この考え方は時に悪影響を及ぼすことがあります。
どういうことかというと、自信は無意識レベルで「プライド」を生み出し、ときにはそのプライドがテニスの上達を妨げることもあるのです。具体的に言うと、「本来の自分はもっと強い!」、「自分の実力はこんなものじゃない!」という思考。この思考がテニスで悪循環に陥りやすいと言えます。
今回の記事では、テニスを効率的に上達させるためのメンタルの持ちようについてご紹介しようと思います。テニスが思うように上達せず、「テニスが楽しくない」という方は、一度最後まで目を通してみてください。あなたの不調を解消するヒントになれば幸いです。
ポイント1:テニスはミスして当たり前。ミスをしても軽く流そう
テニスの調子が悪いと非常にストレスが溜まるものです。テニスほど真剣にやればやるほどストレスの溜まるスポーツは中々ありません。「あーもう!」、「ヤバい!」。ミスをした瞬間、こういった言葉が口から飛び出すプレーヤーは圧倒的多数です。
テニスはミスをして当たり前のスポーツです。悔しさを口にしなければいい、というわけではありませんが、1回1回のミスに対して毎度真剣に悩んでいたらメンタルが持ちません。これからどれだけテニスが上達しても、ミスは必ずします。
「テニスはどう足掻いてもミスをするスポーツ」であることを受け入れましょう。ミスをしても笑って流せるくらい、心にゆとりを持つことができれば、テニスの上達への道がグッと縮まります。
ポイント2:「少しでも長くコートにいたい」という気持ちが大切
「練習だとある程度上手く打てるのに、試合になると全然打てなくなる…」。これは初級者などには非常に多い典型的なパターンです。自分の実力を発揮できずに負けてしまうものほど、テニスをしていて悔しい瞬間はありません。
個人で申し込むテニスの試合の費用も決して安いものではありません。それなりの料金を払ってエントリーしているにもかかわらず、あっけなく負けて会場を後にするというのを、私自身も何度も体験しましたが、どうしようもない虚無感に襲われていたのを今でも鮮明に覚えています。
練習では打てるのに試合になると打てなくて悩んでいる方は、まず「少しでもコートに長くいたい!」という気持ちを強く持ちましょう。精神論といってしまえば精神論ですが、この心構えは非常に効果的です。
コートに少しでも長く居座りたいという姿勢が、まず、ラリーでもボールに喰らいつこうとフットワークが向上します。そして、無意識レベルで1球1球を大切にするように、イージーミスも自然と減少してくるのです。
普段はラリーがあまり続かないプレーヤーでも「100球ラリー」という、「ラリーで100球続けること」を目的に設定して練習すると、普段ミスが早い方でも意外と軽く100球続けて見せる選手が多いです。
これは「少しでもコートに長くいたい」のと同じような現象が起きていると言えます。「100球続ける」ことを義務付けられていなくても、日常的に100球続けることを意識することで、1球1球のショットもことごとく丁寧になってくるので是非意識してみてください。
ポイント3:不安定な状態でもテニスを楽しむように努める
「テニスが全体的に安定すれば上達したと言える」というように、「テニスが上達する=テニスが安定する」というイメージを持っている方は多いのではないでしょうか。これは間違いではありませんが、厳密にいうと少し違うとも言えます。
どういうことかいうと、「テニスは常に不安定なスポーツ」だということです。テニス上級者でも、調子の波は必ずありますし、不安定な時期もあります。例えフェデラーやナダルのようなトッププレイヤーでも例外はありません。
なので、今あなたが不調に陥っていたとしても嘆く必要はまったくないのです。むしろ、不調に陥ったときこそテニスが上達するチャンスです。不安定な状態をも楽しめるようになったとき、あなたのテニスは一皮剥けるようにグンとレベルアップすることができます。
どれだけ高い技術力を要していたとしても、結局のところテニスはメンタルが破れてしまえば何もできなくなってしまいます。実際、高校生まではテニスに打ち込んでいたものの楽しさをイマイチ見出すことができずに、高校のテニス部を引退と同時にテニスを辞める方も決して珍しくありません。
ポイント4:メンタルはコート外の日常生活でも強化することが可能
テニスの上達にはオフコートの時間の使い方も重要になるのをご存知でしょうか?ほとんどのプレーヤーがコート上での練習に、フォームなどの技術的なものに目がいきがちで、もっと本質的なものを見落としてしまう傾向があります。
実は、オフの日の時間の使い方を変えるだけで、テニスを上達させることが可能なのです。それは一体どんな方法かというと、ズバリ、「イメージトレーニング」です。人間は基本的に自分がイメージした以上のものを再現することができないと言われています。
だからといって現実離れしたイメージもあまり意味がありません。ですが、試合などで「負ける」と思ってしまうと負けてしまいます。後ろ向きなことばかり考えていたら実力も発揮できず、負のスパイラルから抜け出すことも困難になってしまいます。
それではどうすればいいのかというと、「普段から物事を前向きに捉える練習をする」ことです。テニスの場合ミスをしたときに「あぁ、何で自分はこんなに下手なんだ…」と思うのと、「最後のミスを修正できれば、自分はもっと勝てるようになる!」と思うかです。
心の持ち方一つでテニスは上達します。つまり、物事の捉え方を変えるだけでも劇的な効果が期待できるということでもあります。なので、練習以外の時間でも、どんなに些細なことからでも大丈夫です。身の回りで起こる、あらゆる出来事を前向きに捉える訓練をしていきましょう。
ポイント5:積極的に声を出してテニスを楽しむ
テニスを楽しむためのコツをあえて1つあげるとしたら、「声を出すこと」。プロでもアマチュアでも、声を出して気持ちを高める選手は珍しくありません。また、ポイントを取って「カモン!」と思い切り吠える行為は、自分の気持ちを高められるのと同時に、相手選手を気迫で押すことができるわけです。
技術レベルは関係ありません。周りの人に何と言われようが関係ありません。テニスとはあくまで個人スポーツ。自分のテニスの上達に有益な要素であれば、迷わず取り入れるべきではないでしょうか?そして声を出すということは息を吐くのと同じこと。メンタルに限らず運動能力、パフォーマンス的にもプラスになるのです。
声を出す場合は恥ずかしがって中途半端なものではいけません。遠慮がちに声を出していてもメンタル的に意味がありません。自然に出る叫び声のような、「エーイ!」でも、「ウアー!」でも、「オラー!」でも何でも大丈夫です。とにかく声を出すことが重要なのです。
まとめ
いかがでしたか?テニスの上達には、メンタルが必要不可欠です。最後まで読んだらお分かりいただけるかと思いますが、今回お伝えした4ポイントは結局のところ、「ポジティブシンキング」に集約されているのです。
ミスを笑って受け入れるのも、少しでも長くコートに居座るのも、不安定な状態を楽しむのもイメージも、すべてに共通して言えます。よく、現役を引退してからテニスが劇的に上達する方がいますが、これは「勝たなければいけない」というプレッシャーから解放されたことで、のびのびとテニスを楽しむことができるようになった結果だと推測することができます。
もちろん、プロであろうとアマチュアであろうと、少しでも上手くなりたいはずですし、試合をするなら勝ちたいと思うのが当然です。そこで必要以上に気を張らずに、少し肩の力を抜くだけでもあなたのテニスに変化が生じるのです。