テニスの上達にプロの真似は有効なのか?メリットとデメリット

フォアハンドの構え
テニス雑誌ではよくプロの連続写真などを掲載して各フォームのポイントなどを解説しています。最近のテニス雑誌は実践的なアドバイスなども増えてきているので、テニスの上達に役立つヒントは多く含まれている場合が多いです。

ですがテニス雑誌で解説しているアドバイスを実践すれば、その全員のテニスが上達するとは限らないものです。当然上達スピードは人によっても異なるので、テニス雑誌を読んで上手くなる人もいれば上手くならない人もいるわけです。

そこで今回は、

プロの真似をするのはテニスの上達に有効なのか?

ということについて考えてみようと思います。このことに関しては、「試合や動画などを観て積極的に真似するべきだ」という考え方や「男子のプロは日本人と体格が違い過ぎるから、真似しない方が良い」、「女子プロの打ち方は参考にするべきだ」などなど、賛否両論で様々な意見があります。

このことに関して結論から言うと、「100%そのまま真似する必要はない」ということです。海外のトッププロは私達日本人とは体格が違い過ぎるというのも本当にその通りで、全く同じフォームを再現できたとしてもそのショットを再現するのはほぼ不可能と言っていいでしょう。ただ、成功事例もあります。

その例がグリゴール・ディミトロフ(ブルガリア)選手。ディミトロフはテニス界で”ベビーフェデラー”と呼ばれるほどに、ロジャー・フェデラー(スイス)の模倣を極めています。彼がフェデラーの真似を徹底したことによって、あのレベルにまでテニスが上達したのなら「テニスを上達させるのはプロの真似をするべき」という意見は正解になり得ます。

ただ、テニスは体格に限らず、ボールタッチやグリップの握りなども人それぞれで、何が自分に合うのかは人によって異なります。ディミトロフの場合、たまたまフェデラーのフォームが自分の身体や感覚にマッチしたのかもしれません。

また、ディミトロフが世界レベルのトッププレイヤーなのは言うまでもありませんが、フェデラーのショットまでは完全に再現できてはいません。ボールの当たりや軌道などは、フェデラーとは異なるものを観ていて感じます。

彼の場合はフェデラーのショットを再現できなかったというよりも、フォームが似ているだけで独自にカスタマイズし、あくまで「似てる」だけで、すでに別物へと昇華させていると言えます。

なのでプロのフォームなどを、部分的に取り入れるのは有効です。ただ、「プロのフォームをマネする」のは有効なのですが、「真似し過ぎるとテニスが上達しなくなる」というリスクも含んでいるということを理解する必要があります。

体格が違い過ぎるプロのフォームを真似するのは、テニスの上達を阻害する

テニスのスタンス

部分的なポイント(身体の使い方)などを真似するのは問題ありませんが、フォームを真似するだけではテニスは上達しません。フォームとはあくまで表面的なものでしかないので、表面だけをいくらなぞっても効果は望めないのです。

どれだけフェデラーやナダル、ジョコビッチをはじめとするトップ選手のスローモーション動画を見直してフォームを再現できたとしても、実際にコートで打ってみれば理想(プロのショット)と現実(自分のショット)に絶望してしまいがちです。

プロのフォームはあくまで漠然とした”イメージ”に留めておきましょう。「手首の角度が45度で、肩の位置が…」と具体的に捉えて真似してもテニスは上達しません。特に自分と体格が違い過ぎる選手の真似はテニスの上達には無意味と言えるでしょう。あまり意識し過ぎると、固定概念に囚われる危険があります。

私も学生時代に、フェデラーとナダルの試合を観てからイメージだけ高まり、フェデラーのイメージでテニスをしても現実は…、虚しくなることが多々ありました。それならば、もっとも自分と近しい選手の真似をした方が体格も近い分テニスの上達に有効と言えるでしょう。

ここで、フォームを真似しても有効とは言えない代表的な2人をピックアップします(筆者の独断と偏見ですが)

ラファエル・ナダル(スペイン)

最近世界ランク1位に返り咲いたフェデラーの永遠のライバルであるナダルです。左利きから放たれる強烈なトップスピンは、バウンドしてからまるで相手に襲い掛かるように跳ね上がります。

あの暴力的なまでのスピンに加え、常人離れしたコートカバーリングでナダルはあのテニスを確立させています。あのテニスは間違いなくナダルだからこそできる賜物なのです。

観ればわかりますが、ナダルの筋肉量は常人の比ではありません。真後ろからナダルのフォアハンドを観ればわかりますが、スイングスピードも明らかにおかしいです。フォームもフィニッシュの位置が普通の打ち方とは異なり、あのフォームだけ真似しても全く意味がありません。

ナダルは好きな選手の一人ですが、テニスを上達させるためのお手本にするには無理があり、あのフォームだけを真似しようとしても、ただの手打ちになってしまいがちになります。

ファン・マルティン・デルポトロ(アルゼンチン)

身長198㎝、体重も90㎏越えの大型選手です。彼の放つフォアハンドは間違いなく世界最強クラスの攻撃力を誇るショットです。薄い握りからフラット気味で放たれるショットは、トップ選手をも含めるあらゆる相手をベースラインから一撃で打ち抜きます。

「なぜ、あの握りであんなショットが打てる…」。多くの方がそう思われるでしょう。彼のフォアハンドはまさに”ミサイル”です。私もデルポトロの大ファンなので、是非youtubeなどで動画を観て見て下さい。

そんなデルポトロですが、彼のフォームもナダル同様、真似してもテニスの上達には有効ではありません。デルポトロはあの身長だからこそ、常人であれば打ちづらい高い打点も、すべてちょうどいい打点で打てるので、あの薄い握りでのハードヒットを可能にしています。

普通の選手なら肩より上の打点も、彼にとっては腰の辺りのちょうどいい打点で捉えることができるのです。また、あのミサイルのようなフォアハンドはデルポトロの巨大な身体のエネルギーを利用して放たれているので、どれだけ練習してもデルポトロのハードヒットを再現するのは不可能なのです。

コンチネンタルグリップでラリーをできるようにする練習はテニスの上達には有効ですが、彼のように強打する練習をしても試合で使える機会も稀なので、”観て楽しむ”程度にとどめておきましょう。

プロの本質的な要素を真似するのは、テニス上達のヒントになり得る

バックハンドストローク

多くの人がプロの真似をするときに、どちらかというとフォームよりも、そこから放たれるショットに目がいきがちです。ただ試合観戦を楽しむならそれで問題ないのですが、プロのテニスを真似する場合は、そこに意識を向けていてはテニスは上達しません。

上達に大事なのは、”身体の使い方”です。例えばフェデラーのフォアハンドを自分の中でお手本にしたい場合は、どのように身体を使ってあのしなやかなフォームを表現しているのかを考えることが重要なのです。その他にも

・回り込みフォアを多用する場合のポジションの取り方
・アプローチ→ネットへの出方
・リターンのポジション

こういった戦略的な部分を真似することもテニスの上達には有効だと言えるでしょう。本番の試合では積極的に頭を使う必要があります。極論、相手の嫌がることを徹底できる選手がテニスの試合では強いです。

よく、プロの試合では選手が放つショットの方に目がいきがちですが、そのショット打っている身体の動きや、コートでのポジションなどを注意して観戦することで、新しい発見や、自分でも取り入れることができるようなヒントを見つけるきっかけにもなるのです。

まとめ

1つのアドバイスが10人のテニスを上達させるとは限りません。プロの真似をするのも同様で、そのフォームも1人1人異なります。どんな打ち方が自分に適していて、テニスの上達スピードが速まるのかどうかは、やはり実践してみないことにはわかりません。

1つ確かに言えることは、体格が違い過ぎる選手の真似をしてもテニスは上達しないということです。表面だけ模倣できたとしても、彼らと同じようなショットを再現するのは不可能です。

凄まじいショットを打てるようになるよりも、イージーミスを減らしていくのが上達の第一歩なので、まずは自分の能力(身体能力や打ち方、球をコントロールできる範囲など)を理解することから始めましょう。

テニスを上達させる為にプロの真似をするのは有効なのかは賛否両論ありますが、最終的にあんたのテニスはオリジナルのモノになります。プロの真似をしたい場合は、最近のテニス雑誌などでの解説を参考にするのが妥当です。その中で自分に適したものだけを取り入れていきましょう。

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