コラム

大坂なおみは東京オリンピックに出場できるのか?複雑に交差する”国籍”問題

大坂なおみ オリンピック
日本史上初、グランドスラム(全米オープン)において女子シングルスを制した大坂なおみ選手。

まさに日本テニス界の英雄と呼ぶに相応しい活躍でした。

次々と名を馳せた名選手を退け、セレーナ・ウィリアムズ(アメリカ)との決勝戦では不穏な雰囲気になったものの、最後まで飲まれずに見事な勝利。

私に限らず日本のテニスファンにとってはとても特別な大会となりました。

ツアーファイナルでは敗退したものの、近い将来WTAランキングでも1位の座は十分射程圏内と言えるでしょう。

今後さらに上を目指して欲しいと願います。

ただ、2020年には待ちに待った東京オリンピックが開催されるわけですが、

このままでは大坂なおみ選手がオリンピックに出場するかは分からない

という真実をご存知でしょうか。

【国籍問題】IOC(国際オリンピック委員会)と日本のルールの板挟み

二重国籍
現状のままですとまず大坂なおみ選手はオリンピックに出場するかは、実に微妙なところです。

その原因が「国籍」です。

まず、IOC(国際オリンピック委員会)が定めているルールとして、

出場選手は国籍のない国の代表選手になることはできない」のです。

それに追い打ちをかけるような形で存在する日本のルールとして、

外国籍を有する人間は日本の国籍を有することができない」のです。

現在大坂なおみ選手は「日本」の選手としてツアーを戦っていますが、ステータスとしてはあくまで「二重国籍」です。

アメリカ人の父親と日本人の母親の間に生まれた大坂選手は近々選択を迫られることになります。

日本とアメリカ、どちらの国籍を取るか?

現在おおさか選手は1997年生まれの21歳。次の誕生日である2019年10月16日までに、どちらかの国籍を手放さなければならないのです。

アメリカ代表として出場する可能性はゼロ。日本代表としての出場は…

前述の補足も兼ねて、大坂選手がオリンピックに出場できない理由を考えてみましょう。

大坂なおみ選手がアメリカの代表として出場することはできるのでは?」と考える方もいらっしゃると思います。ですが、現状ではそれも難しい。

何故ならばIOCのルールの1つに

「どちらかの国、もしくは地域の代表となっている場合は、別の国や地域の代表になることはできない」というものがあります。

これはつまり、一度どこかの国の代表として大会に出場している場合は違う国の代表にはなれないということです。

大坂選手は以前、フェドカップの日本代表選手として所属している為、このルールに基づくとアメリカ代表になることはできないのです。

一応このルールの例外として

「国籍を変えた場合、国の代表として出場した試合から3年経過していれば別の国・地域の代表として出場できる」のですが、

大坂選手が日本代表としてフェドカップに出場したのは2018年。

出場から3年に満たない2020年の東京オリンピックに出場することはできません。従って、アメリカ代表としての出場はIOCのルール上実現しません

そうなると日本代表という選択肢が残るわけですが、彼女にとって日本代表を選ぶ際にもリスクがあります。

日本を選んだ場合、大坂なおみ選手に降りかかるもの、デメリットとは

前述の「外国籍を有する人間は日本の国籍を有することができない」という点。

二重国籍のままでは日本の国籍を正式に得ることはできません。

また、日本の「国籍法」として「20歳前に外国と日本の国籍を2重に取得した場合は22歳までにどちらかの国籍を選択しなければならない」という決まりがあります。

よって、大坂なおみ選手も22歳までにはどちらかの国籍を選ばなければなりません。

「だったら、日本国籍を取ればオッケーじゃん?」

確かにそうなのですが、実は彼女がこの選択を取ることによって、アメリカ国籍を失う代償も決して軽いものではありません。

税金やスポンサー、住む環境等、様々な変化が起きるでしょう。日本側も日本側で、ハーフである大坂なおみを受け入れないテニスファンも残念ながら一定数いらっしゃるというのも心配な点ではあります。

もちろん最終的に決めるのは大坂選手本人ではありますが、国籍法等の関係もあり、気楽に決断できる話でもないでしょう。

日本が大坂なおみの二重国籍を認めるのが最もベターな対応

アメリカと日本、どちらの国籍を選んでもメリットとデメリットが存在します。ただ今回の問題で一番スムーズなのは、「日本が大坂なおみの二重国籍を認める」ことだと考えます。

国籍法自体きっちり整備されている国は案外少ないですが、日本ほど国籍へのこだわりが強い国も珍しいです。

・アメリカ
・イギリス
・フランス
・スイス
・スペイン
・ドイツ
・韓国
・台湾
・デンマーク

一部ではありますが、上記の国々は全て二重国籍を正式に認めています。日本も二重国籍を正式に認めてしまえば、大坂なおみ選手も気兼ねなく東京五輪を戦うことができるでしょう。

たった一人の少女の為に国がルールを変えるか否か・・・。

まとめ

・大坂なおみは22歳までに日米どちらかの国籍を選ばなければならない
・どちらを選んでも東京五輪でアメリカ代表として出場することはできない
・日本代表として出場可能ではあるが、それは大坂なおみが日本を選んだらの話
・どちらを選ぶにしてもメリットデメリットがあるので、単純な問題ではない

間違いなくアメリカにとっても日本にとっても、そう簡単に手放せるような大坂なおみ選手ではありません。

ちなみに22歳までに国籍をどちらか一方に定めなければならない、というのは日本の国籍法です。

つまり、アメリカ的には今回大坂選手がどちらを選んでも構わない、ということになりますね。
(東京オリンピックはどの道、アメリカ代表にはなれません)

だからこそ、日本が二重国籍を認めてしまうのが最も話が早いと言えるでしょう。

本人的には「日本代表として東京五輪でプレーするのが夢」とも語っているので、日本を取りたい気持ちはも強いことが伺えます。

日本のテニスファンとしても大坂なおみ選手が日本代表の選手として、東京五輪で戦えることを願うばかりです。

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