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【ちゃんと見てる?】嫌でもテニスが上達する”斬新なボールの見方”

ジュニアテニス
テニスにおいて「フォーム」とは表面的な要素ではありますが、だからといって疎かにしていいわけではありません。日本の指導方法にはフォームに関する様々なアドバイスやメソッドが存在します。この技術的アドバイスは決して無駄ではなく、むしろ人によってはテニスが劇的に上達する貴重なきっかけになるのです。

テニスに技術的アドバイスが不要だったら、大半のテニススクール・テニスコーチの存在意義が失われてしまいます。ただ、注意すべき点としては「1つのアドバイスが全員に当てはまるとは限らない」ということです。

例えば、「打つときにしっかり膝を曲げて!」というアドバイスがあったとします。確かに、今まで棒立ちで打っていた人がこのアドバイスを実践すればショットが安定し、テニスが上達することもあります。しかし、中にはしっかり膝を曲げて打っているにも関わらず上達しない人もいるわけです。

理想のフォームとは、人によって異なるものです。さらに言うと、自分の元へ飛んでくるボールは1球1球変化しています。ボールの軌道、回転、深さによって自分の打つフォームも応じて変化しているのです。つまり、手先の細かいフォームは常々変化しているので、わざわざ固める必要はないのです。

史上最高の選手と名高いロジャー・フェデラー選手は、恐ろしいほどまでに柔軟なテニスをします。一つ一つの動作の繋ぎがあまりにもスムーズ過ぎて、迎撃態勢に入ったことにすら気づけません。ですがフェデラーのプレイを裏付けているのは、彼の強靭かつしなやかな肉体です。

だからフェデラーのショットは、どれだけフォームを上手く真似ることができたとしても到底同じようなクオリティを再現することはできないのです。

テニスの技術的アドバイスに関しては、自分にとって最適な要素だけを取り入れていくのが理想です。自分にとっても最も打ちやすいフォームというのは、自分にしかわからないものです。何が自分に適しているのかは、それこそ練習あるのみ。テニスの上達に行き詰っているときは、新しい要素を積極的に試していくべきです。

ただ、テニスにおいてもっとも存在感が強く、私達選手が意識すべき存在は”ボール”です。最終的には、「どれだけボールに集中できるか」がとても大切になってきます。そこで今回は、テニスを確実に上達させるための「正しいボールの見方」についてお話します。

「ボールをよく見て打つ」。ある意味これはテニスの真理です。テニスはラケットでボールを打つスポーツであり、ボールをよく見て打つのがある意味テニスのコツとも言えます。「ボールをしっかり見て!」どこのテニススクールでも、どこの学校の部活の先輩でも使っているようなアドバイスです。

決して間違ったことは言ってないにも関わらず、「ボールをよく見て!」というアドバイスでテニスが上達する人は稀です。何故ならば、ほとんどの人がボールをよく見ているようで見てないからなのです。厳密に言うと、「肝心なところを見逃している人が多い」と言えます。

正しいボールの見方とは何なのか?肝心なところは何なのか?これから具体的に説明させていただきます。スランプに陥っている場合は特に効果的なので是非一度意識してみてください。

ステップ1:飛んでくるボール以上に、”飛んでいくボール”をよく見る

ボールをよく見て打つ

これがテニスが上達しない多くの人が見逃している、”肝心なところ”の正体です。基本的に「自分に飛んでくるボール」に関しては、技術レベルを問わず多くの人がしっかり見ているものです。ですが、「自分から飛んでいくボール」をしっかり見ている人となると、一気に人数が「ガクッ」と少なくなります。

自分の打ったショットはネットのどれぐらい上の位置を通過したのか?相手コートのどのあたりに着弾したのか?これらは飛んでいくボールをしっかり見ていなければ決してわかることはありません。実際に、自分の打ったショットはネットのどれぐらい上を通ったのか正確に答えることのできる人は少数派です。

改めて、「飛んでいくボールをしっかり見る」ことを意識してみてください。飛んでいくボールをしっかり見ることによって得られるメリットは莫大かつ大切です。まず第一に、自分の打ったボールもしっかり最後まで見ることによって、ボールへの集中力が高まります

運動とは本来感覚的に行うものであり、ボールに集中している状態とは、まさに感覚でテニスをするための入り口となります。

「このタイミングで打ったら、ネットにかけた」
「ここで思い切り打ち込んだら、アウトした」
「ここで振り切って打ったら、エースになった」

こういったことを頭を使って考えるのでなく、自分のフィーリングで調整してコントロールしていくのが”感覚”です。ですがこれは、自分の打ったボールをしっかり見なければ決してできない芸当なのです。

何故ならば、「自分の打ったショットの軌道を見ていない=答えがわからない」ということであり、修正しようにも何をどう修正すればいいのかも全くわからなくなってしまうためです。

算数で例えると「3×□=18」という問題であれば、□の答えはわかります。しかし、飛んでいくボールを見ていないということは「3×□=〇」と同じような状態で、問題を解こうにも解く方法がないのです。

どのタイミングで、どんな打ち方をしたらどんな結果だったのか?この”ボールに関する情報”をどれだけインプットできるかが、テニス上達のカギとも言えます。テニス上級者であればあるほど、多くのボールに関する情報を自分の感覚に記憶しているわけです。

ステップ2:飛んでくるボールがスローモーションになる魔法のような見方

強打しようとする女性

よく、例え話で「集中力が高いと、目の前の物体(ボールや相手の動きなど)が止まって見える」という話がありますが、これは現実世界でも近しい現象が起こり得ます。もちろん止まって見えることなどありませんが、ボールへの集中力が高いと、飛んでくるボールがスローモーションに見えるような感覚に陥ることがあります。

スローモーションに見えるようになれば、当たり前ですがボールを打つのも楽になり、クリーンヒットできる確率も大幅にアップします。ボールの見方を変えるだけでもテニスは上達するのです。

具体的にどんなボールの見方かというと、「ボールの回転を見る」ということです。「ボールの回転を見るなんて不可能」と思われるかもしれません。もちろん、飛んでくるボールの回転を鮮明に見極めるのは不可能です。それができれば、能力者の域に達しています。

ですが重要なのはボールの回転を”見ようとする”ことです。これは前述の「飛んでいくボールをよく見る」ことにも共通して言えるのですが、見えにくいものをよく見ようとすることで、集中力が必然的に生まれるのです。

文章では上手く説明し辛いのですが、ボールの回転を意識して見るように心掛けているとほんの一瞬、回転し続けているボールがクッキリと見える瞬間があります。ボールの縫い目の位置などがはっきり見えるのです。

その一瞬をしっかり感知することができれば、自分の打つショットはしっかりラケットのど真ん中でヒットできるようになり、パフォーマンスが向上します。もちろんパフォーマンスが低下したりする時間もありますが、長時間回転を見ようとし続けることで集中しやすくなり、結果的にテニスも上達していくのです。

まとめ

・飛んでいくボールをしっかり見る
・ボールの回転を見ようとする

この2点はあまり意識している人が多くないのと同時に、見えにくい部分でもあります。この「見えにくいものを見ようとする」行為こそ、嫌でもボールに集中し、頭ではなく感覚的にテニスをこなすようになり得るのです。もしあなたが現在不調に悩まされているのであれば、是非一度意識してみてください。