テニススクール、テニスコーチ、人によってテニスの指導法、テニス上達論は様々です。基本的なフォームから考え方など、それぞれの個性は少なからず現れます。国や地域などによってもテニスの色が出てくるもので、それぞれ独自のフォームなどを身につけてテニスを上達させていくのです。
ですがテニスとは時代の流れと共に細かい変化を繰り返しています。1番代表的なのがテニスラケットです。「後方筆を選ばず」ということわざもありますが、流石に昔のラケットと現在のラケットを比べれば大きく異なります。ガットや、ボールも同様です。
そこで1つ、テニスを上達させるにあたっての問題が生じます。それは何かというと、「昔のテニス上達論が現代のテニスに当てはまらない」ということです。もちろん、全く当てはまらないとは限りません。
場合によっては現代のテニスに当てはまらない、不適切な指導法も存在するのです。元々テニスは木製のラケットからスタートしており、現在では様々な素材を用いて頑丈かつハイスペックなテニスラケットが普及しています。一部のメーカーでは数字を図ることができるラケットまで登場しているのです。
20世紀に入ってからテニスを始めたプレーヤーは昔のテニスラケットを使う機会は滅多にないので違いを感じることは難しいのですが、一昔前からテニスをしているベテラン層の方々は、昔と今のテニスラケットには驚くほど差があるのを感じ取っています。
多くの方が口にしているのは「現代のテニスラケットの性能が良すぎる」ということです。力が無くても、ボールがラケットの真ん中にさえ当たればしっかり飛ぶという、ラケットの進化に驚いているのです。
サーブやストロークをはじめとする、テニスにおける全ショットのスピードも上昇傾向にあります。現在(2017年10月時点)では、世界最速のサーブは260㎞/h台をマークしています。にわかには信じがたい数字です。
私達日本人のアマチュア選手では、160㎞/hのサーブでもどちらかというと速い方に分類されますが、それのさらに100㎞速いとなると別次元のスポーツになりそうですね。コースを突いてなかったとしても、とてもリターンできる気がしません。
そのようなこともあり、特にトッププロの選手たちは現在のラケットの進化を危惧している意見もあります。また、ボールのスピードなどを一定以下に抑える為、テニスボールを改良するという意見も出ているのです。現在のテニスはそこまで変化しています。
なので今回は、現代テニスには不適切と言える技術的要素についてご紹介します。これを実践してしまうと絶対にテニスが上達しない、とまでは言えませんが、一定以上のレベルでの試合で勝つのを難しくしてしまう可能性は高いと言えるでしょう。
逆に、今テニスの上達に悩んでいる場合は、今回お伝えすることを意識するだけで
・リターンがしっかり返るようになる。
・ラリーでのイージーミスが激減する。
・カウンターの精度も格段に上がる。
このような効果を期待できるのです。不調のサイクルを脱し、今以上にテニスを上達させて試合でも勝ちたいあなたは、是非ご参考にしてみてください。
【現代流テニスの上達論】テイクバックをはじめとする全動作をコンパクトに
「テイクバックは大きく!」という、テイクバックの大きさについては賛否両論ありますが、ボールのスピードも速い現代テニスにおいてはテイクバックなどの動作を大きくするとボールについていけず、テニスの上達を阻害してしまう可能性が高いのです。
完全に浮いて、しっかり構える準備ができるチャンスボールならまだしも、基本的に動作を大きくしてしまうとその分反応速度が必要とされるので、タイミングを合わせるのが難しくなってしまうのです。
逆に基本の動作をコンパクトにしておけば、ボールとのタイミングを合わせるのが簡単になり、打ち合いでのミスショットが起きる確率は下がると言えるでしょう。人によっては、動作をコンパクトにするだけでテニスが劇的に上達するケースもあります。私の場合、リターンがまさに当てはまったのです。
特に難しくなるのはリターン。動作をコンパクトにするだけで成功率も2倍に
構えをコンパクトにすることで特に楽になるショットはリターンです。基本的にリターンが上手く返らない人は通常のストロークと同じような感覚で打ってしまいがちです。それではボールとのタイミングを合わせるのが難しく、自分の元へ飛んでくるサーブでもイージーミスをしてしまうのです。
リターンは通常のストロークよりもスピードが乗っている分そのパワーを利用することができるので、ラケットの真ん中に当てれば、十分攻撃的な返球ができるのです。コースが鋭くなければ、スピンサーブやスライスサーブのように変化する球よりも、フラット系のサーブの方が簡単にリターンできるのです。
フォームや技術的に要素は人によって合う合わないがありますが、リターンにおいては構えをコンパクトにして損するようなことはないと言えるでしょう。リターンが返らず試合が終わってしまう人にとっては一気にテニスを上達させる特効薬にもなり得るので、是非実践してみてください。
ボールは1球1球変化している。構えをコンパクトにしておけば柔軟に対応可能
フォームを変に固めてしまうのはかえって危険です。何故ならボールトは刻一刻と変化し続けるものであり、回転、スピード、軌道が全く同じというボールは決して存在しません。フォームを固定してしまうのは、プレーの柔軟性を潰してしまうことになります。
中級者レベルで多いのが、威力のない弱いボールを打ち返すのが苦手なケース。こういった選手は強打の打ち合いだと互角に打てる反面、緩急などをつけられるとタイミングが合わず一気に崩れてしまい、ストレート負けすることもよくあるパターンではないでしょうか。
テニスにおいてタイミングとは、「ボールとのタイミングさえ合えばミスをすることはなくなる」と言えるぐらい大切な要素です。そしてそのタイミングとは常に変化するものであり、フォームを固めてしまうと一定範囲の打球しか合わせることができなくなってしまうのです。
さらにそこでテイクバックなどの動作が大きいと速いボールとのタイミングを合わせるのが難しくなり、ラリーでもすぐにミスをしてしまう原因に直結するのです。
先ほども言ったように、現代のテニスラケットは力がなくても真ん中にさえ当たればボールはしっかり飛ぶのです。”タイミングを合わせる”ということにフォーカスすると、テイクバックなどは大きいよりも小さい方が圧倒的に簡単になるのです。
ジュニア上がりはテイクバックが大きい場合も多いが、真似する必要はナシ
ジュニアからテニスをやっている上級者レベルの人は、比較的ダイナミックなフォームも多いです。ですが、これを真似するのはリスクがあります。何故ならばジュニア、子供は感覚的に運動を覚えるので、ある程度思考能力のついた大人よりもタイミングを合わせるのが上手だからです。
大人になってしまうと知性がある分、感覚的にプレイするのが子供よりも難しくなります。タイミングとは言葉にするものではなく、本人のフィーリングでもあるので、思考能力が大人よりも劣っている子供の方がより感覚的にテニスができるのです。
これが”ゴールデンエイジ”という、子供のうちから運動していた方がテニス等の運動が上達しやすいと言われる由縁かもしれません。
まとめ
「テイクバックなどの動作は小さくて良い」
現代のテニスはスピードがある分、テイクバックが大きいとタイミングを合わせるのが難しくなります。そこで動作をコンパクトにしておけばタイミングも合わせやすくなり、結果的にイージーミスが激減しテニスが上達しやすくなると言えるでしょう。
「ラケットの真ん中にさえ当たれば、ボールはしっかり返る」。大人になればなるほど物事を難しく捉えてしまいがちですが、運動とは感覚で行うものです。難しく考えずシンプルに捉えて、意識すべきこと、やるべきことを絞り込んだ方がテニスも楽しくなります。